The 24th story
The 24th story
― Caritas Chase Action ―
―――フジ研究所
ユキナリがモンスターボールをかざすと、
冷たい冷風と共に、紫色をした何かが現れる―――
フジ「…このポケモンは……ベトベトンか……」
ユキナリ「………はい」
フジ「ベトベトンが通った場所は数十年草木も生えなくなると聞くがこいつは異臭すらないな…」
ユキナリ「……ベトベトン」
ユキナリはフジの言葉に反応することなくベトベトンに命令をする。
すると、ベトベトンは元いた場所からズルズルと動き移動する。
すると、元居た場所にベトベトンとは異なるポケモンが。
大きく伸びた艶やかな羽。
彼が、愛して止まなかった友。
幼き頃、初めて出来た永遠の家族。
フジ「このポケモンはユキナリ君のピジョット………しかもこれは………」
冷たい風がピジョットから流れてくる。
生気のない、哀しい風。
ユキナリ「………ベトベトンは。人が思っているほど危険でも。汚いポケモンでも、ない」
ユキナリは、そう言いながらそっとベトベトンに触れた。
ベトベトンは、ユキナリの手がくすぐったいのか、目を閉じる。
フジ「………?」
ユキナリ「ベトベトンは毒を出さない事だってできる。逆に、毒を吸収することも出来る」
キュッとユキナリは眉間にシワを寄せる。
ユキナリ「今ピジョットの腐敗を遅らせられてるのはベトベトンが協力してくれてるからです」
フジ「ベトベトンの体内に擬似的に冷蔵庫を作って…ベトベトンの力で腐敗を遅らせているのか……」
ユキナリ「ベトベトンは選択的に毒を出しているんだ。ベトベトン自身が悪い事は何も無い」
ユキナリ「悪いと言うならそれは人だ!ベトベトンが何故生まれたのか!何のために存在するのか!」
フジ「………」
ユキナリ「人の勝手な都合で!何かを悪と決め付け!迫害し!自分達を省みることもない!」
ユキナリ「無意味に争いをし!疎み疎まれ!虐げて!何が人だ!何がポケモンだ!」
フジ「ユ―――」
ユキナリ「そんな下らないことのためにピジョットは………!!」
―――アマギリシティジム横
テリス「……取り敢えずねぇ……深夜に出直そぉ……」
ディル「深夜か。だが俺その時間寝てるぜぇ」
テリス「いや起きてよ」ビシッ
と突っ込むテリス。
ディル「いてぇえええぇぇ!!てめぇ何で叩くんだああぁぁ!!??」
テリス「ひぃ渾身のツッコミがまさかの逆効果ぁ(/≧△≦)/」
ディル「そんなことよりどうすんだぁ!俺その時間なったら寝ちまうぞぉ!」
テリス「今から昼寝でもしといてよぉ……そんな事言われてもしらないよぉ………」
ディル「その手があったか!!」
テリス「………今からすごく不安だよディル」
ディル「んだと?」
怖い顔で威嚇するディル。
テリス「顔が怖いぃ(/≧△≦)/」
ディル「まぁいいぜ!!そうと決まれば俺は寝てくるぜ!行くぞテリぃス!!」
ディルはそう大声を上げると、翻り、テリスの手を強引に引っ張る。
それに気付いたホワイトとブラックは、ヒョコッと首を引っ込める。
テリス「えぇ私も寝るのぉ………」
ズイズイと進んで行く二人。
ディル「お前、寝ないでいいのか!!夜1時くらいになったら眠くなって任務の途中寝ちまうぞ!!」
テリス「……ディルお子ちゃま………」
ディル「何ぃ!!?怒っちゃ嫌ぁ!!?」
テリス「強ち間違いでも…けどそう聞こえたのに怒るんだ…あぁ何か目の前がボーッとしてきたぁ…」クラッ
ディル「いいじゃねぇか!よく眠れるぜ!!」
テリス「いや前途多な……まぁいいやぁ………」
と夫婦漫才を披露しながら消えるディルとテリスの二人。
ホワイト「………ブラック」
ブラック「…あぁ。今日の夜にって…。ジムに何を仕掛けたんだ…?」
ホワイト「分かんない。どうする?」
ブラック「どうするって……」
ホワイト「あいつらカリタスだ。何をしようとしてるか分からないけど、危険なことかも」
ブラック「………だけど、どうするんだ?」
ホワイト「夜来るのが分かってるならボク達であいつら尾行しよう!危険な事しようとしてたら止める!」
ブラック「………分かった」
ホワイト「あれ止めないの?」
ブラック「止めても無駄だろ?」
ホワイト「♪よく分かっ」
げしっ
そう言い掛けいると、ホワイトは後ろから尻を蹴り上げられる。
ホワイト「いった!!?」
ブラックの目の前に転がるホワイト。
それを、ブラックはキョトンと見ると、後ろを覗く。
アミ「ホワイト達何やってんの!」
ヒナ「おそい!」
そこには、左足を上げたままのアミと、右足を上げたままのヒナが。
ブラック「ちょっとね………」
ホワイト「とゆーか、二人いたなら一人ブラックを蹴れたでしょ!!何でボクだけ!!?」
ヒナ「蹴りやすかったし………」
アミ「足が短かくて蹴りやすい位置にお尻があったってことね」
ヒナ「ホワイトなら蹴ってもいいかなって」
アミ「これがドカン顔とイケメンの差ってことよね」
ホワイト「………(´;д;`)」
ブラック「そろそろ入れてもらおうか」
アミ「そうしようそうしようー!」
ホワイト「ブラック全面スルー!!?」
ヒナ「大丈夫ホワイトにはちゃんと特大パフェとアイスココアと苺シロップのかき氷用意してあるから」
ホワイト「そこは譲らず!!?」
ワイワイと騒ぐ4人―――………
―――フジ研究所
ピルル「ぴるっ」
憤り、叫ぶユキナリに、ピルルはピョンと逃げ出す。
トタトタと部屋のドアを抜けていった。
ユキナリ「……!…ピル―――」
フジ「いや、構わんだろう。研究所は締め切られてるし、尤も暴れられては困るが」
ユキナリ「すみません………」
ユキナリは、気を取り乱したのを改めて恥じているのか、
申し訳なさそうに下を向いて言った。
フジ「いや。それより、ユキナリ君の思いはよく分かったよ。それで原始終焉神のことだが―――」
ユキナリは話を聞きつつベトベトン達をモンスターボールに仕舞う。
フジ「私もよく知らないんだ。ただ、伝説上の仮説に過ぎないと言うのもあるし、それに」
フジ博士は何か重要なことを言うために、少し間を置く。
ユキナリ「………それに?」
フジ「原始終焉神と言えど、生命の摂理を超えた干渉は不可能というのが私の結局の見解でね」
ユキナリ「………………」
―――
(イラ「お前が思っているような世界はどこにもありはしない」)
―――
フジ「先にも言ったが、もう辞めてしまったんだ、その研究は。今は別の研究をね」
ユキナリ「―――フジ博士、さっきピルルをご覧になりましたね」
ユキナリは、フジ博士の言葉を無視するように言葉を続けた。
フジ「―――あぁ。さっき走って行った」
ユキナリ「あのポケモンの他、最近見なかったポケモンが、しかも群れをなすことなく見付かるんです」
フジ「………?」
ユキナリ「世界中で点々と突然に。且つ一方で消失まで起きている噂があります。ポケモン、人に限らず」
フジ「………………」
ユキナリ「カントーから帰って来る途中、謎の男に今世界に原始と終焉が混在していると言われました」
フジ「………言っている意味が―――」
ユキナリ「………では、結論を言います。これをご覧になって下さい」
ユキナリはバッグから紙を取り出す。
古びた紙切れには、何かの絵が描かれている。
フジ「………これは…ポケモンか……それに………」
何種類ものポケモンらしきものが描かれる絵巻。
そして、フジ博士の目に付いたのは、青い猫のような―――………。
フジ「このポケモンはもしやさっきの………?」
ユキナリ「そうです。恐らく」
フジ「この巻物は何だい?随分古いものだが………」
ユキナリ「僕の町の…書庫から見付けました。……交友の証として遺されたものだと思います」
フジ「……そうか…」
ユキナリ「ですが、最近のものにはいないものがかなり。恐らくそれの意味するところは―――」
フジ「あのポケモンは絶滅していたポケモンだと?」
ユキナリ「はい」
フジ「少し突拍子もない話だ。ユキナリ君。それは」
ユキナリ「…分かってはいます。ただ、何らかの原因で絶滅したポケモンが世界に復活させられている」
フジ「そう信じたいわけだね、ユキナリ君は?」
フジ博士の声色が少し強張る。
フジ博士にとって、ユキナリの今の言葉は妄言でしかないようだ。
ユキナリ「自分でも馬鹿だと分かってます。ですがもしそれが原始終焉神の仕業、力の兆候であるなら…」
フジ「今君は藁をも縋る思いのようだ。だが私自身そういう馬鹿げた仮想をした事がなかった訳じゃない」
ユキナリ「………………」
フジ「………2日後、イシマでその原始終焉神を祀る恒例の祭事が行われる」
ユキナリ「…祭事……?」
フジ「祭事は1ヶ月に一度行われるのが通例だが、2日後のは10年に一度行われる意味があるものらしい」
ユキナリ「10年に一度………よくご存知ですね、フジ博士」
フジ「代償を支払ったんだよ。少し厄介なことがあったらしく、連中に古代文字読解の問題が生じた」
ユキナリ「……厄介……?…」
フジ「口止めされているからこれ以上は聞かないでくれ。それに、なくても問題ない情報だから」
ユキナリ「………はい」
フジ「ともかく、大事な祭事に預言を読めないとあっては大変ということで、私が匿名で協力した」
フジ「一子相伝らしくね、我々はそういう論文は共有しているから、尤も読解には苦労したが」
ユキナリ「一子相伝……ですか、イシマらしいと言えばイシマらしい」
フジ「随分躍起だったよ。その預言で2日後は随分重要な事があるらしく。―――だがね」
ユキナリ「―――。はい」
フジ「それだけ関わってもそれが伝説上のお伽話でしかないこと、原始終焉神でさえ無理な事を痛感した」
ユキナリ「………………」
フジ博士の言葉に、ユキナリはグッと眉間にシワを寄せ沈黙する。
フジ「―――ユキナリ君」
ユキナリ「………はい……」
フジ「今の君は、私によく似ているな」
ユキナリ「………?……それは―――」
フジ「今私はポケモンの強い生命力を応用する研究をしている。もしかしたら協力できるかも知れない」
フジ博士は、ユキナリの言葉を遮るように続けた。
ユキナリ「え………?」
ユキナリの目に少し光が戻る。
フジ「幸い、外傷も小さい。腐敗もユキナリ君の機転あって0だ。もしかしたら―――」
ユキナリ「ピジョットを生き返らせられるのですか!!?」
フジ「フフ、ユキナリ君声が大きいよ。だが、確証はないことを承知してくれ」
ユキナリ「あ、すみません!あ、あの」
フジ「そんなに急かなくていい。ユキナリ君、君に手伝って欲しい。私の研究を」
ユキナリ「勿論です!!フジ博士!僕に出来ることは何でも―――!!」
椅子から乗り出すユキナリ。
打って変わってしまったその姿には、狂気すら感じられる。
フジ「急に元気が良くなったな。ではこちらへ来てくれ。研究の概要を話そう」
ユキナリ「はい!!―――そうだ、ピルル―――」
フジ「いや、特に音も立ててなかったし、暴れてはいないようだから放っておいてもいいだろう」
そう言いながら、部屋を出て研究室を歩き進む二人。
フジ「資料室に案内するよ。少し私の研究に目を通してもらわねば話にならない」
ユキナリ「頑張ります」
―――
エレベーター周辺で、ゴソゴソと動き回るポケモン。
ピルル「ぴる~♪」
ピルルは、興味津々で研究室を探索する。
すると、エレベーターの前で、感知されたのか、自動ドアが開く。
ピルル「ぴぅる!?」
突然に開いたドアに、明るく漏れる光。
ピルル「ぴる~?」
ピルルは、恐る恐るエレベーターの中へ。
―――ガコン!
ピルル「ぴるぅ!?」
ピルルが中へ乗ったことで、閉まる自動ドア。
だが、ボタンまで届かないピルルでは、エレベーターはそこから動かない。
ピルル「ぴる~」
不思議そうに箱を内から観察するピルル。
エレベーターのボタンには、外界へ戻る↑ボタンと、研究室への↓ボタンしかない。
研究階に現在位置するエレベーターは、上階しか行く道がないと主張するかのように、
ただ↑ボタンが点々と点滅している。
ピルル「ぴる~~~」
「………」
コポ
―――
書庫に到着する二人。
フジ博士は、黙々と山になった資料をかき集める。
ユキナリ「そう言えば、フジ博士も原始終焉神の研究はなされていたんですよね?」
フジ博士の後ろから、ユキナリが話し掛ける。
フジ「ん…?あぁ……」
ユキナリ「どうして…何を切っ掛けに辞められたのですか?」
フジ「先に言った事が一つ、これ以上研究を続けても無駄だと考えた事。だがそうだ何より大きいのは」
そこで、フジ博士は手を止め、間を置いた。
ユキナリ「………?」
フジ「…確かに。無駄だと知っても本当ならその藁にすがり付こうとしたろう、がそうしなかったのは」
そこで、フジ博士は更に大きな間を置く。
自分の精神感情の遍歴を、思い出すかのように。
フジ「私が……新たな光を見付けたからだろう」
―――ガコン
ピルル「―――ぴる?」
重い音を立て、一瞬揺れるエレベーター。
―――
ユキナリ「新たな………光?」
―――ウィィン………
静かに、動き出すエレベーター。
エレベーターの液晶表示画面には、本来表示しない数字が。
点々と点滅する↓ボタン。
画面には、8の下の横棒がない数字と、1の数字が現れている。
ピルル「ぴる………?」
―――
フジ「………一つ。一つだけ。忠告をさせてくれ」
―――ウウウウウウウン………
静かに、静かに、下へと降りて行くエレベーター。
長い長い時間は、深い深い場所へと進んでいる事を意味していた。
ピルル「…ぴる……」
―――
ユキナリ「………忠告…ですか?」
―――ズン………
地下のフロアへと到着したらしく、エレベーターは静かに揺れ、止まる。
同時に、プシュゥゥ…という音と共に、自動ドアが開く。
ピルル「ぴる………?………」
部屋から流れてくる、冷たい冷気。
冷ややかな風が、ピルルの息さえ凍らせてしまう。
―――
フジ「君は、今初めて大切なモノを失って、戸惑っているかも知れない。だが忘れてはいけない……」
―――
ピルル「ぴるっ」
ピルルが、元気良くドアを抜け出し、奥へと走っていく。
コポポ
―――
フジ「何かを取り戻す為その何かより更に大切なモノを代償に差し出してしまわないよう気を付けなさい」
―――フジ研究所遥か地下
いくつものセキュリティが掛かる検問の奥深くにそれはいた
ピルル「ぴる~?」
好奇心、それだけがピルルを動かしていたと言えば、それは間違いかも知れない。
………―――ゴポポポ
―――
ユキナリ「更に…大切なモノ……」
―――
数も知れぬほど試験管、ビーカーがある
その中を、ピルルは慎重に足を進めて行く。
何かに呼ばれるように。
―――ゴポポ
―――
フジ「今の私に………言える事は……それだけだ………………」
フジ博士は、そう言って資料集めを再開する。
今、脳裏に浮かんだ思いを、掻き消すように………。
―――
目が眩むような蛍光色の液体。
そこだけが、異様に光を発していたから、ピルルがそこへ向かったのも当然だったかも知れない。
だが、呼ばれた気がしていた。
声は聞こえないけれど、何かが心に訴えてくる。
ピルルは、その声に従って、そこへ来た。
なにだろう。
ごしゅじんとおんなじにんげんかな。
だって、おおきさもおなじくらいだし、かたちもにている。
でも、どうしてだろう。ぼくたちとおなじにおいもする。
ゴポ
あっちや、こっちにいるみんなはよくおぼえてる。
ぼくたちはなかま。さっきからおへんじはないけど…ねてるのかな。
でも、このひとは、からだがあちこちぼろぼろになってる。
だいじょうぶなのかな。いたくないかな。こわくないかな。
でも、きっとこのなかでちりょうしてもらってるんだ。
ぼくもまえごしゅじんにいれてもらったのおぼえてる。
すごくいごこちがよかった。
ねぇ、さっきからぼくにはなしかけてるのはきみ?
いたくてはなすのがつらかったら、おへんじしなくていいから、おはなししていい?
ゴポポポポ!!
ピルル「ぴる……?」
ヴンンンンンンンンンン
突然に、周辺の重力が変化したかのような何かが起こった。
カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ
音を立てて転がっているビーカー。
(「―――」)
ピルル「ぴる………!?」
浮き上がる、ピルルの体!
(「きみはここにいてはいけない」)
ピルル「ぴ…!?」
パシュゥ!
高い音を立て、消えるピルルの体。
そして、事を終えたように、超重力から解放される。
カラカラカラカラ………カラン
転がっていたビーカーが、机に当たって音を立て止まる。
(ありがとう)
(おはなしできてたのしかった)
―――カイオウシティ、代表議会議事堂一室
部屋には、ショウ、リカ・チカ、アキ、そしてカガリの姿が。
部屋には重い空気が充満している。
スノベ「―――皆揃ったな」
リカ・チカ「「あぁ」」
ショウ「だが、カガリ師匠、体は良いのか?無理はしない方が………」
カガリ「若いのが一丁前に年上の心配をしなくていい。何、大丈夫だ、自分の事は自分がよく分かってる」
ショウ「………分かったよ」
スノベ「よし、では今からアマギリシティへテレポートさせる!」
そうスノベが号令を掛けると、サーナイトが徐ろに歩み寄って来る。
スノベ「この任務は極秘裏だ!よってテレポートしたアマギリの一箇所からは出禁とする!」
アキ「えー!」
スノベ「済まない。事を余り大きくさせたくないんだ。9時にて予定通りアマギリを出航!」
ショウ「………」
スノベ「又、その際に無線による連絡等も以降禁止とする!」
チカ「……電波も拾われれば楽に読まれるからな」
スノベ「あぁ。アマギリ滞在の際何かあれば直接テレポートしてきてくれ。エルレイドを配置してある」
カガリ「………スノベ」
スノベ「はい。イシマでの行動は全てカガリさんに従うように!判断はすべてその場で決めてもらう」
リカ「………ん、何だ、いなくては話にならんほどのポストじゃないかカガリおじい様」
スノベ「うむ。確かにそうだな」
カガリ「その時は人望も力もあるショウに任せたさ」
ショウ「いやいやいや!俺なんて」
スノベ「まぁそういうことだ!では命令は以上だ!何か質問はあるか!?」
ショウ「………」
リカ・チカ「「………」」
カガリ「………」
アキ「先せ」
リカ・チカ「「ふんっ」」バキッ
スノベ「質問はないな!ではテレポートさせる!サーナイトの力では一人ずつしか無理だが、誰が行く?」
ショウ「ん、なら俺から行くよ」
そう言って、サーナイトの前へと出るショウ。
サーナイトは、順々にテレポートを開始して行く。
アキ、リカ・チカ、そして、カガリの番へ。
スノベ「では、イシマは頼みます」
カガリ「あぁ。お前もカイオウの事は任せたぞ」
サーナイト「………」
ピシュン!
音を立て、消えるカガリ。
スノベ「………………」
―――テレポート先拠点
カガリ「………」
カガリは、静かに周りを見渡す。
薄暗いコンクリの打ちっ放しの廃屋のような一室。
声が反響して聞こえる様子は、まるでお化け屋敷のようだ。
アキ「なんじゃコリャー!何も無いぞー!!」
リカ「こっちも何もない」
チカ「テレポされた最初の部屋に食料があったくらいだな」
ショウ「…今4時過ぎだろ…随分静かだな……アマギリにしては……」
カガリ「アマギリの外れである可能性もあるな………」
ショウ「………そうだな、カガリ師匠。いずれにしろ………」
アキ「出ちゃ駄目なんだもんなー!暇ー!!」
ショウ「そこかい」
リカ「だいじょぶ、トランプ持って来てる」
チカ「ウノも」
ショウ「用意周到だなオイ!!」
リカ「カガリおじい様もやるかい?」
カガリ「いや私はいい…こちらにはベッドもあるようだから少し休むよ……」
チカ「そうか、ゆっくり休んでくれおじい様」
アキ「おだいじにー」
ショウ「あぁ」
ゆったりと歩き、大部屋から消えるカガリ。
アキ「いやーでもこんな場所アマギリにあるんだねー」
リカ「何やる?」
チカ「定番でババ抜きは?」
ショウ「あぁ………」
だが、少年はまだ不審を抱いたまま―――
―――アマギリシティ、ヒナ宅
ワイワイワイワイワイワイ
広いゴシックの部屋に、ワイワイと笑い声が響く。
何やら、部屋の中心では、ツイスターゲームに興じている。
ヒナ「次は~~~あか―――!!」
カズ「むりっ…す…」
ワイワイワイワイワイワイ
ホワイト「(ブラック、カリタスは一体何をやろうとしてるんだろう?)」
ホワイトの目の前には、特大のパフェと赤いシロップの掛かったかき氷、アイスココア。
ホワイトは、ボソボソとブラックに話し掛ける。
ブラック「(そんなの俺が知ってる訳ない。でも危ないことは確かだよ、イワシロのこと思い出せば)」
ホワイト「(きっと今晩行けば何か糸口を掴めるかもね)」
ブラック「(まぁそうだな………)」
ホワイト「(………よし!)」
アミ「ぎやあああ!!」
カズ「ぐべへー」
向こうの方で聞こえる、アミとカズが崩れ落ちる断末魔。
ヒナ「ホワ~いとッ!」
楽しそうな声を放ちながら、ソファに座るホワイトの肩を抱くヒナ。
ホワイト「!ヒナ」
ヒナ「ねぇホワイト、ホワイトはいつまでいるの?」
ホワイト「え~っと、いつまでって言ってもなー」
ブラック「明日にはこのアマギリを船で出なくちゃだめだからね」
ヒナ「えー……」
シュンと肩を落とすヒナ。
ブラック「(最初は俺ばっかだったのに^^;)」
と苦笑いするブラック。
ヒナ「じゃぁねじゃぁね!きょうとまっていってホワイト!」
ホワイト「泊まる………あぁいいよ!」
ブラック「―――」
目を光らせるホワイトに、はっとするブラック。
ヒナ「ほんと!?やった!!」
ヒナが更にギュッとホワイトに抱き着こうとすると―――
ヒョイッ
持ち上がるヒナの体。
ヒナパパ「パパはそういう不純異性交遊は許しませんよ^^」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ヒナ「ふじぅゆ……なに?」
ヒナパパ「ヒナは知らなくていいことです^^ホワイト君」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ホワイト「えっあっはい(||゚Д゚)」
ヒナパパ「泊まってってもいいけど、9時以降はヒナに近付かないように^^」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ホワイト「はっはい………(;=゚△゚)」
ヒナパパ「よしよし^^ヒナはちょっとこっちへ来なさい^^」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
そう言って、ヒナを抱えたまま奥の方へと進んで行くヒナパパ。
ヒナ「えー!ちょっパパー!!」
ブラック「だってさ」
ホワイト「うん………」
ブラック「まぁここはジムの隣だし、ホワイトの思っている通り、名案だな」
ホワイト「でしょ!それでそう!さっき思い付いたんだ!」
ブラック「?何を?」
ホワイト「作戦名だよ!!」
ブラック「作戦名って………今日の夜の?」
ホワイト「そう!作戦名があった方が気も乗るし!」
ブラック「(もういつものことだし慣れたな………)それで、作戦名とやらは?」
ホワイト「知りたい!?なら教えて進ぜよう!」
ブラック「あ、あぁ…」
ホワイト「名付けて!!」
ホワイト「カリタス追跡作戦!!!」
第24話
― カリタス追跡作戦 ―
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